
射述畧説
これより此一本の矢を射る順序と規矩とを御話しいたしませう。
この一本の矢をひくにつきての法則は巳に中古大なる改良がありました。就中、
日置彈正政次の定めたる法則は今日まで残りて廣く行はれて居る次第でありますから、先ず
此人の工夫に成れる法則や順序をお話致すこととしませふ。
此人は先ず七道といふ法則を立てたのであります、その七道と申すことは
一に足踏、二に胴造、三に弓構、四に打起、五に引取、六に會(會のことを流派によりて持の
字を用ひますし又抱へとももうします。)、七に離れであります。
之れにつけ加えて五味といふのがありますが、五味とは第一が目附、次が引込み、
次は抱へ、四は離及び延び合、五に見込であります、七道に五味を加ふると申すなれども
、七道の方は姿勢の規矩を現に人の肉目より見て名つけた所で御座います、然るに
五味の方は精神上の働きにつきて定めたる規定でありますから、目に見ゆる所の
七道とは全く性質を異にして居ります、つまり一方は精神にありて他の方は外形に
あるのであります、弓を學ぶものは初歩の中より精神を込めてすることが必要なれば、
又此五味を五法といひて之を鍛錬することが肝要であります、そこで先づ目に見ゆる
所の七道から説き初むることに致しませう。
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